夜明け前は最も暗く寒い。 岩戸山(岩戸観音)に登る時、まだ眠たい幼い私の手を引いた、祖母の口からついて出た独り言です。 その時感じたのです。 祖母も趣味で登っていたわけではないと。 本人(幼い当事者)に自覚のない、何の成果もない繰り返しには、気が滅入る事はあります。 祖母の気持ちを察し、私の口は、ありがとうと突いてでました。 それと同時に、私自身、もう手を離して登れるようになりました。 それから時が経て、祖母が亡くなった後、一人で登ってみましたが、夜明け前の住復2時間の道のりを決行していた事に、あらためて驚きました。 夜狄けの観音の道は、都合よくいかない獣道です。 だからこそ、誰彼の為でなく、自らを牢獄に閉じ込めていた自身の思い、自らを自分と分けた思いを身削ぎ落とす事ができるのです。
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